学習に関する心理学用語 学習曲線 学習曲線とは、心理学者ハーマン・エビングハウスによって提唱された理論です。人の理解は、学習した量と質に比例して伸びていくわけではありません。エビングハウスは、学習曲線には、「準備期」・「発展期」・「高原期」と呼ばれる3つのステージがることを見出しました。 中でも、多くの人が陥りやすいのは、3ステージ目のプラトー(高原期)現象です。初めてのことに挑戦(準備期)するときは、覚えることの大変さよりも新しいことを習得していくことの楽しさが上回ります。やがて、理解が進み、できることが多くなっていくと(発展期)、その面白さ・楽しさは倍増します。 ところが、やがて伸びの停滞期(高原期)が訪れ、投げ出したり、やる気を失ったりします。でも、ここを乗り越えていくとまた新たな発展期が訪れます。このサイクルをしっかり理解して取り組むと学習力は確実に伸びていきます。 学習の伸び方曲線 先のエビングハウスの学習曲線は、一般的な学習理解の型を示していますが、他の学習理論や私の経験上から、子供の学びの曲線は4種類あると考えています。理解度が早く、急激な伸びを示す凸型タイプ。理解するまでは少し時間がかかるが、ある時期から急激に伸びていく凹型タイプ。理解も伸びも一定で、理解が順調に進む直線型タイプ。そして、エビングハウスの学習曲線に少し似ていますが、伸びと停滞を繰り返しながら理解が進んでいくS字型タイプです。まずは、指導者は子どもがどのタイプか、見極めていくことが必要でしょう。 スパイラル学習とステップ バイ ステップ スパイラル学習とは、発達や学年の段階に応じて、行きつ戻りつしながら、らせん状に学びの理解を深めていく学習のことです。教科で言えば、国語科がそれにあたります。例えば、1年生から6年生までのすべての教科書に、物語教材や説明文教材が載っていますが、ジャンル的には同じです。たただその内容の深さや学びの質・文字数・文法的な難しさが違うだけで、基本的なその学び方には相違はありません。 ステップバイステップ学習は、小さな課題(問題)を、一段ずつ階段をのぼるように理解し定着を図っていく学習です。教科で言えば、算数科がそれにあたります。例えば九九を覚えきらずに次の学年に進むと、掛け算や割り算でつまずくでしょうし、掛け算や割り算を理解していないと、小数や分数で理解が困難になることでしょう。 子どもは、大きく分けると、このスパイラル学習が理解しやすい子とステップバイステップ学習が理解しやすい子がいるようです。「国語は好きだけど算数は嫌い」や「算数は好きだけど国語が嫌い」という子がいるのは、このことが影響しているのかもしれません。 学習障害 学習障害(Learning disorder:LD)とは、知能の全般的な発達は正常の範囲ではあるものの、特定の領域において、その習得や理解に困難を示す障害です。書けない、読めない、計算できないLD児の場合は比較的周囲の人が気付きやすいのですが、それが軽度だったり、自分なりに他の方法でカバーしていたりした場合は、なかなか気付きません。 私の教え子の大学生にも、未・末・来の区別や、最・回・国等の区別がついていない子がいました。相談を受けてよくよく聞いてみると、文脈から大体の意味を理解していたようです。 周囲の気付きがもっと早ければ、その困り感により良い工夫で対応できていたかもしれません。 反転学習 反転学習とは、「学校で学び、自宅で宿題や家庭学習を行う」という流れを反転させ、「次の授業に向けての予習を行い、それを次の授業に生かす」という学習です。新しいことを学ぶワクワク感は少し減りますが、授業の見通しが立てやすくなり、事前に調べたり、内容を把握したりしておくことで授業の理解がしやすくなります。 通常の学習 授業で知識をインプット 事後の自主学習で知識をアウトプット 一方で、子供が反転学習に慣れていなかったり、反転学習の意味を十分に理解していなかったりした場合、その効果には差が出るかもしれません。ですから、教師や家庭では、反転学習に必要なスキルとポイントを十分に理解してもらうことが重要になってきます。具体的には、予習の重要性、授業への生かし方、ノートのまとめ方、パソコンやタブレットの操作・活用スキルなどです。これらが、保障されれば、反転学習は学習力を伸ばす上で、非常に有効なものとなるでしょう。 反転学習 事前の自主学習で知識をインプット 授業で知識をアウトプット 学習の転移 学習の転移とは、前に学習したことが後に学ぶ学習に良い影響を与えたり、悪い影響を及ぼしたりすることを言います。例えば、ローマ字を頑張って覚えすぎると、英語との綴り方の違いに混乱したり(負の転移)、そろばんを習ったことで繰り上がりの意味がよく分かり、計算が速くなったり(正の転移)します。つまり、学習の転移は、過去に学んだ学習内容や経験したことが、これから新しく学ぶ時に結構よく起きる現象だといえます。 学習性無力感 学習性無力感とは、いくらやっても上手くいかなかったり、せっかく取り組んでも失敗し、叱られてばかりいたりしてやる気を失い、学習しようとしなくなってしまう現象をいいます。「おれなんてどうせ無理・・・」「わたしなんてやるだけ無駄・・・」などの言葉が聞かれるようになったら要注意です。 集中学習・分散学習・弁別学習 集中学習とは、 休憩時間を入れずに一気に集中して学習を続けることです。短期集中型の子がこの学習を好みますが、一夜漬けになってしまうことも多く、学習の定着度はあまり高くありません。 もう一つ、弁別学習というものがあります。学ぶ教科や分野によって、学習法を変えながら取り組んでいくやり方です。これは、教科の特性やポイントをしっかり理解していると言えるため、最も効果のある学習法かもしれません。 これに対して分散学習とは、休憩時間を適度に入れながら、学習を行うことです。子どもによっていろいろな学習の仕方があるでしょうが、一般的には、集中練習よりも分散練習の方が効果が高く、学習の理解・定着度も大きいと言われています。