2000年代初頭、かつて一世を風靡したフィンランドの教育が再考され始めています。その一番の理由は、PISAの学力テストの結果が大きく順位を落としたばかりではなく、学習意欲の低下や心身の不調などが、各種の研究報告で発表され始めたためです。そしてその要因として挙げられているのが、「教育の急速なデジタル化」と「過剰な自主・自律の尊重」です。そのため、デジタル先進国では2020年代に入り、『小学生にはデジタル端末を配らない(シンガポール)、国が配布したデジタル教科書の導入率はわずか32%(韓国)、紙の教科書使用を増やす方向へ(フィンランド)』と舵を切り始めています。一方、日本はというと、今後デジタル教科書を紙の教科書と同じ「正式な教科書」とする方向が示されているのが気にかかります。フィンランドと同じ轍を踏まなければよいのですが・・・。
もう一つ、フィンランドの教育の特徴として、過剰なまでに子供の自主性を尊重し、子どもの学習活動に全く負荷をかけなかった点が挙げられています。確かに学力や学習意欲が高い子は学習活動を通してすでに身に付けている基本的な知識スキルを活用しながらどんどん深く探究活動をいけたでしょうが、そうでない子たちは、学びの方向性とある程度の負荷をかけることや、探究活動をしていくための基本的な知識スキルが十分ではなかったのでしょう。結果、学習活動に対して意欲が持てず、浅い学びになってしまった子を多く出現させてしまった可能性が指摘されています。おそらくクラスの3分の2くらいの子供には、ある程度の方向性と負荷、そして自主活動を成立させるための基本的な知識スキルが必要なのではないでしょうか。
余談ですが、私が小学生の頃、中学生のお兄さんたちが正確な弓矢作りを教えてくれたので、多分今でも作れます。しかし、同学年の子たちと山に行って作った小屋づくりは、楽しかったけど、知識もスキルもなく適当に作っていたので、残念ながら今作ろうとしてもどのように作るか分かりません。
新しい教育や探究活動は、常に自主性と基本的な知識スキルのバランスを考えていくことが大切なようです。